2006年08月01日
川俣晶の縁側過去形 本の虫入手編 total 3074 count

XMLデータベース入門 -Data on the Web- Serge Abiteboul/Dan Suciu/Peter Buneman 共立出版

Written By: 川俣 晶連絡先

 xml-users MLで話題を振って、訳者自らにコメントを頂いた書籍が到着しました。

 何というか、本全体から面白そうなオーラがにじみ出てきていますね。

 まあいろいろあるので、xml-users MLに書いた内容を以下に転載。

[xml-users 9510] XMLデータベース入門-Data on the Web- §

 川俣です。

 XMLに関して面白い本が出ています。

XMLデータベース入門-Data on the Web-

[原著:Data on the Web:From Relations to semistructured Data and XML]

(ISBN4-320-12162-7)

Serge Abiteboul・Peter Buneman・Dan Suciu 著

横田一正 監訳

國島丈生 訳

B5変型,288頁,4000円

http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/shin0607_01.html

 今日、仕事の打ち合わせの帰りに八重洲ブックセンターに寄ってちらっと眺め

てみましたが、なかなか面白そうなムードでした。

 お金の都合でその場では買えなかったものの(4000円は高いよ!)、あとで必ず

買おうと決めました。

 ちなみに、「XMLデータベース入門」というタイトルから、XMLデータベースあ

るいはXMLデータベース製品(NeoCore XMS等)の使い方が分かる本……と理解する

と誤りです。原著からあまりにかけ離れたこのようなタイトルを付けたのは、か

なり問題があるような気がします。

 では、いったい何について書かれた本かといえば、上記URLから引用します。

/*

Webサイトに代表されるオンラインの情報の多くは,半構造のテキストデータに

よって構成される。本書ではこれらのデータの標準形式となるであろうと言われ

るXMLの文法から,半構造データに対する型やシステムについて詳説している。

*/

 つまり、主テーマはXMLデータベースではなく、半構造データです。

 しかし、単に半構造データを解説しているだけではありません。

 上記URLにあるまえがきPDF形式から引用します。

/*

 いままさにこの分野では,知的な発酵が激しく起こっている.「すべては文書

である」,「すべてはオブジェクトである」,「すべては関係である」という3 

つの文化がぶつかりあっている.しかし実は,どの文化も,一匹の巨象を異なる

視点から眺めているにすぎない.

 本書は,この3 つの文化の間の溝の架け橋となる.現在,3 つの文化の間で共

有されているものはXML しかない.正確に言えば,XML からいくつかの特徴を除

いたものしかない.3 つの銀河系をまたぐデータ標準語となるのはXML,または

その子孫に違いない.つまり,XML(またはその子孫)が,コンピュータの間で

やりとりされる半構造データや構造データの標準形式となるに違いない.

*/

 要するに、文書、オブジェクト、関係(リレーション)を統合しようという壮大

な大風呂敷を広げているわけです。しかも、XMLではなく、「XML からいくつか

の特徴を除いたもの」を使うと言い切っています。

 いや~、ドキドキワクワクする大風呂敷ですね。しかし、直感的に「実際に畳

る大風呂敷かもしれない」という予感を感じる大風呂敷でもあります。